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最高裁判所第二小法廷 平成8年(行ツ)203号 判決 1996年12月20日

埼玉県岩槻市太田二丁目一〇番一〇号

上告人

鈴木真吾

埼玉県春日部市大沼二-一二-一

被上告人

春日部税務署長 草間孝

右当事者間の東京高等裁判所平成八年(行コ)第三四号確定申告及び源泉徴収所得税取消等請求再審事件について、同裁判所が平成八年六月一〇日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

記録に照らすと、本件再審の訴えを不適法として却下した原告の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 福田博 裁判官 大西勝也 裁判官 根岸重治 裁判官 河合伸一)

(平成八年(行ツ)第二〇三号 上告人鈴木真吾)

上告人の上告理由

一 上告理由附属書類の表示(資料1~資料4の2)

(一) 資料1 平成7年版有斐閣「判例六法」書より抜粋した六枚綴の写し。

(二) 資料2 「判決書」平成八年(行オ)第一号浦和地方裁判所

平成八年三月二五日言渡

浦和地方裁判所第四民事部裁判所書記官田島康宏

記名平成八年三月二五日付「右は正本である。」との判決書五枚綴の写し。

(三) 資料3 平成八年四月五日付で控訴人鈴木真吾が東京高等裁判所第九民事部御中宛に提出した準備書面(一)の五枚綴の写し。(本件番号平成八年(行コ)第三四号)

(四) 資料3の2 右の準備書面(一)と共に提出した証拠申出書(甲第15~同18号証)写し。

(五) 資料4 「行政控訴本件記録」本件番号平成八年(行コ)第三四号八枚綴の写し、東京高等裁判所第九民事部記名。

(六) 資料4の2 「領収書」平成八年六月二〇日付(財)司法協会業務部名義領収書右資料4の判決文等の複写料金領収書の写し。

右の資料1~資料4の2等を基に左記の上告理由を記載する。

二 上告理由

1 前項一の(一)資料1の二枚目裏上段~中断赤印左記に引用

民事訴訟法第三九五条〔絶対的上告理由〕<1>左の場合に於ては常に上告の理由のあるものとす。

「一 法律に従ひて判決裁判所を構成せざりしとき。」

「二 法律に依り判決に関与することを得ざる裁判官が判決に関与したるとき。」

「三 専属管轄に関する規定に違背したるとき。」

「四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為を為すに必要なる授権の欠缺ありたるとき。」

「五 口頭弁論の規定に違背したるとき。」

「六 判決に理由を附せず又は理由に齟齬あるとき。」

(一) 前項二の1記載民事訴訟法第三九五条<1>の一の条文刻当立証、前項一の資料1の二枚目裏中段赤印を左記に判例として引用

判 絶対上告理由

1 法律に従った判決裁判所の構成

1 基本たる口頭弁論に関与しない裁判官によってなされた判決は民訴法一八七条一項に違反し、本条一項一号に該当する。(最判昭32・10・4…)

(二) 前項一の(一)資料1の四枚目裏中段赤印条文左記引用記載する。

民事訴訟法第一九〇条〔言渡期日〕<1>判決の言渡は口頭弁論終結の日より二週間内に之を為す。但し事件繁雑なるとき基の他特別の事情あるときは此の限に在らず。

(三) 右の(二)同法に違背について

(1) 前項一の(五)資料4二枚目裏赤印

「本件判決言渡期日を平成八年六月一〇日午後一時一五分と指定する。」

「平成八年六月五日」

(右の判決言渡指定に対し、控訴人及被控訴人共に期日請書を提出していない。)

(2) 右(1)同資料4の三枚目裏赤印

「第一回口頭弁論調書」

「期日平成八年六月一〇日午後一時一五分」

「弁論の要領」

「裁判長」

「判決原本に基づき判決言渡」

(3) 前項一の(一)資料1の四枚目赤印民事訴訟法第一九〇条〔言渡期日〕<1>「…口頭弁論終結の日より二週間内に之を為す。」

前項1の(五)資料4の三枚目裏の「第一回口頭弁論調書」の期日は「平成八年六月一〇日…。」で右同資料四の二枚目裏赤印判決言渡、平成八年六月一〇日…指定する。

同指定書作成年月日が平成八年六月五日付である。

右記載の「第一回口頭弁論調書」作成日より前に判決言渡期日を指定する事は前項二の(三)の(3)記載の民事訴訟法第一九〇条<1>に違反している。

(4) 前項一の(一)資料1の三枚目裏下段赤印判例左記に引用記載、

二 無効とされた例

3 判決言渡期日の口頭弁論調書に裁判長の氏名の記載を欠く場合には、判決言渡しに関与した裁判所の構成が明からでないだけでなく、調書末尾の認印が裁判長の認印であることを証明することができず、結局右調書は権限ある裁判長の認印を欠く調書として無効となる。(最判昭55・9・11…)

(5) 右の(4)の判例に該当は右の(3)に記載されている通り、口頭弁論調書作成前に右(1)の判決言渡調書が作成されている事は、判決言渡しに関与した裁判所の構成が明らかでない。

この事は前項二の1の民事訴訟法第三九五条の<1>の一に該当する。

(6) 前項一の(一)資料1の四枚目裏上段赤印記載引用

民事訴訟法第一八七条〔直接主義〕<1>判決は其の基本たる口頭弁論に関与したる裁判官之を為す。

右同法の違反について、右同資料1の四枚目裏中段赤印

判例記載引用

本条違反の効果

1」 判決の基本たる口頭弁論(最終)に臨席しない判示が関与(判決原本に署名捺印)した判決は本条一項に違背し、判決の一部に対する上告の場合でも全部破棄される。(最判昭25・9・15…)

(7) 前項一の(一)資料1の三枚目裏上段赤印条文引用記載。

民事訴訟法第一四二条〔口頭弁論論書作成〕口頭弁論に付いては裁判所書記官期日毎に調書を作ることを要す。

右同法に対する違法該当立証。

前項二の(三)の(3)記載事項は右同法に違背している。

(8) 前項一の(一)資料1の四枚目裏中段民事訴訟法第一九〇条〔言渡期日〕に関した判例を左記の通り引用し記載する。赤印右同資料1の表下段

判決言渡期日の指定

1 判決の言渡期日は、口頭弁論期日と別に裁判長が定めて当事者に告知しなければならず、言渡期日を延期して次の期日を指定せぬまま言い渡された判決は違法であり、、破棄を免れない。(大判昭13・4・20…)

2 当事者に適法に告知されない弁論期日における言渡し。

(最判昭27・11・18)

右の判例1 ~2 に関し、前項一の(四)資料4「行政控訴事件記録」に綴られている通り、右判例1」の当事者への告知右同2」の当事者に適法に告知されていない判決言渡である。

(9) 前項一の(五)資料4の三枚目裏赤印当事者の出頭状況等

(民訴法第一四三条第一項第四号の事項)

「当事者双方不出頭」

右民訴法第一四三条第一項第四号は左記の通りである。

「四出頭したる当事者、代理人、輔佐人及び事並闕席した当事者の氏名」(前項一の(一)の資料1三枚目中段赤印引用)

右同法に関しては、民事訴訟法第三七一条(控訴状の送達)

「控訴状は之を被控訴人に送達する事を要する。」及、同法第一五四条〔呼出しの方式〕の当事者への告知がされていない、違法なものであり、右同法第一九三条〔判決の送達〕のみ行われている前項一の(五)資料4の七~八枚目裏送達書類「判決正本」にて立証す。

(10) 右(9)の事項は民訴法第三九五条<1>の四、被控訴人及訴訟代理権等の訴訟行為を為すに必要なる授権の欠缺がある。右(9)の事項内容に該当する。

(11) 前項二の1記載民事訴訟法第三九五条<1>の五。

「口頭弁論の規定に違背したるとき」

前項一の(一)資料1三枚目裏「第一回口頭弁論調書」記載の「場所及び公開の有無」「東京高等裁判所第九民事部法廷で公開に関する事項

右(9)の記載内容及右同法第三七一条(控訴状の送達)及同法第一五四条(呼出しの方式)等の適法に対し、同法第一四三条第一項四号に関し、当事者を出頭出来ない様にして右の「第一回口頭弁論調書」に記載の「東京高等裁判所第九民事部法廷で公開」と記載されている事は、民事訴訟法第三九五条<1>の五に該当する。

(12) 前項二の1、民事訴訟法第三九五条<1>「六判決に理由を附せず又は理由に齟齬あるとき。」

(一) 右同法に該当する判例

前項一の(一)資料1の二枚目裏の赤印を左記に記載引用す。

3 理由不備

4 記載文面及体裁からして、特に反対事情のない限り記載内容を措信すべき書証につき、何ら首肯するに足りる理由を示さずにこれを採用できないとした原判決には理由不備の違法がある。

(最判昭32・10・31…)

(二) 前項一の(三)の資料3平成八年四月五日に東京高等裁判所第九民事部御中宛に準備書面(一)として五枚綴の書面及前項一の(四)の資料3の2の証拠申出書と共に甲第15号証~同18号証を同日提出したものを採用しないで前項一の(五)資料4の「行政控訴事件記録」五枚目(判決書二~三ページ)事実及理由の「二控訴人の主張、控訴人が主張する再審事由は、原判決の「事実及び理由」に記載のとおりであるから、これを引用する。」

と記載されており、右の準備書面及証拠の書証を採用しないで判決は右(12)記載の民事訴訟法第第三九五条<1>の六に該当する。

又同判例にも該当する。

(三) 右と同前項一の(五)資料4の五枚目裏(判決書三ページ)

「三当裁判所の判断」

「…控訴人の本件再審の訴えは不適法であり、…その欠缺が補正することができないものであることは明らかと判断する。

その理由は原判決の「事実及び理由」に記載のとおりであるからこれを引用する」

右の「 」内の内容についても、右(二)と同じく当事者間の争いに準備書面及証拠の書証を採用しないで再審の訴えは不適法であると判断する事は右(12)記載の民事訴訟法第三九五条<1>の六に該当する。

(四) 右と同前項一の(五)資料4の五枚目裏(判決書三ページ)

「四 結論」

「右のとおりであって、本件控訴は理由がないから、民事訴訟法二〇二条、三八四条によりこれを棄却することとし、…」

(五) 右の民事訴訟法二〇二条(口頭弁論を経ない訴え却下)「不適法なる訴にして其の欠缺が補正すること能はざるものなる場合に於ては口頭弁論を経ずして判決を以て之を却下することを得。」

(右条文、有斐閣判例六法平成7年版記載引用)

(六) 右民事訴訟法第三八四条<1>「控訴裁判所は第一審判決を相当とするときは控訴を棄却することを要す。」

(七) 右の(五)訴訴二〇二条口頭弁論を経ないで訴え却下の条文と前項一の(一)、資料1の行政控訴事件録綴三枚目裏「第一回口頭弁論調書」との条文がくいちがいがあり同条文の「…其の欠缺が補正すること能はざる場合…」について前項一の(三)の資料3準備書面(一)及右同資料3の2証拠申立書甲第15~甲第18号証を採用しないで右の「…その欠缺が補正すること能はざる場合…」等の件について右の同条文とがつじつまが合わない。

右の件は前項二、1記載の民事訴訟法第三九五条<1>の六に該当する。

(13) 前項一の(一)資料1五枚目裏下段赤印民事訴訟法第三八七条〔判決の手続の違法に基づく取消し〕第一審の判決の手続が法律に違背したるときは控訴裁判所は判決を取消すことを要す。

右の同法に関して前項一の(二)資料2判決書の綴一枚目裏

「事実及理由」

右同裏ページ十一行目「1 再審被告の氏名は」から同綴三枚目表十一目「き、裁判の脱漏がある。」

右記載内容は右同法判決の手続の違法に基づく取消しに該当する事柄である。

以上

(添付書類省略)

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